
在宅訪問をさせて頂いている大腸癌ターミナル患者のAさん。
全体的に症状は落ち着いているものの、徐々に最期を迎えつつあるようで、このまま徐々に体力が落ちていき老衰のように逝かれるのではないかと考えています。
医師の見立てでは「夏は越せないだろう」と。
寂しいですが最期まで全力でサポートさせて頂くつもりです。
最近のトピックスは、
①在宅療養の長期化による看護者(奥さま)の疲労
②ご本人の嚥下機能の低下
の2つです。
①については、メインの介護者である奥さまがとても一生懸命且つ几帳面な性格で、「全て自分がやらなければ…」と考えてしまわれるところがあり、
もちろんその気持ちもとても良く分かるのですが、一方で介護の負担が増してどうしようもなくなった時に、そのストレスをAさんに向けてしまい、自己嫌悪に陥ることがあるようです。
これは介護現場では良くあることで、対策も色々あるかと思いますが、今回僕は奥さまの負担を減らすために下記のようなアドバイスをさせて頂きました。
「出来ることを全てやることで後悔したくない奥さまの気持ちはよく分かりますが、その気持ちは息子さんたち家族も同じですよね。皆が協力してAさんを介護することが、ご家族にとって一番後悔しない選択だと思うし、Aさん自身もそれを望んでいられると思います」と。
その後訪問看護師からのアドバイスも加わり、結果的に奥さまは息子さんに介護を任せて買い物や美容室に行かれることも見られるようになりました。
奥さまが納得した上で介護負担を軽減しつつ、介護の質は落とさない(寧ろ向上するかな)方向に導くことが出来たのではないかと考えています。
②については、最終的には服薬ゼリ―を使用して頂くことで落ち着いたのですが、その過程の中で「トロミ剤を濃い目に混ぜることで服薬ゼリ―と同じような効果が得られる」ということを僕は初めて知りました。
これは連携する院内薬剤師が色々調べている中で、ドラッグストアに勤務する薬剤師から得た情報で、当初僕はその事を少し疑ってみたりしたのですが、実際にトロミ剤を混ぜてみると…
このようにしっかりゼリー化することが分かりました。
服薬ゼリ―は使用が長期化するとコスト的な負担が大きくなるため、院内薬剤師が「何とか負担を下げる方法はないか」と調べ上げた末の代替案です。
素晴らしいですね。
今回は活かされなかったものの、こうした努力は必ず次に繋がると思っています。
昨今は多職種連携が謳われていますが、同じ薬剤師でも業種が異なれば知識も異なるということで、このような連携も役に立つことが良く解る事例となりました。