薬剤師ボランティア

みの薬剤師ボランティアグループ「在宅訪問」 抑肝散

在宅訪問をさせて頂いている大腸癌ターミナル患者のAさん。

癌性疼痛については、最近カロナール錠を定期服用に変更したこともあり上手くコントロールできているのですが、

不穏というか…、特に排せつ時に言うことを聞いてくれなくて、介護者(妻)を困らせることが多くなってきているようです。

具体的には、ポータブルトイレに座らせようとしたり、尿器を当てようとしたり、オムツに出すように促したりする時に、それら全てを拒否されてしまうことが頻繁にあるとのこと。

介護が長期化して疲労もピークになりつつあり、ついつい本人に対して怒ってしまうこともあるようで、それが介護者(妻)の今一番の悩みなんだとか。

そんな経緯もあり、この問題について訪問看護から相談がありました。

簡単に言えば「薬を使って何とかならないでしょうか?」です。

担当看護師からの提案は安定剤の定期服用。

安定剤を服用することで、本人の感情面及び動作をコントロール(抑制)したいといった思惑があるようです。

でも正直安定剤の使用は微妙です。

上手くハマれば良いのですが、ちょうど良いバランスに収めるのは至難の業ですよね。

そんなに上手くいくはずがありません。

むしろ抑制し過ぎてしまったり、不穏がひどくなったり、挙げ句の果てには昼夜逆転で逆に介護者(妻)の負担が増えるのがオチのような気がします。

服用するなら眠前ですが、どちらかといえば昼間の時間帯を対策したいようなので、余計に安定剤は選択外かな。

そんなこんなで、結果的に今回は漢方薬の抑肝散を使ってみることにしました。

抑肝散は子供の夜泣きに使われる有名で安全な薬ですが、いつの頃からか認知症患者の興奮を抑えるといった使い方がされるようになった薬です。

漢方というと「効果が弱い」とか「長く飲まないと効かない」といったイメージがありますが、僕的には(効く人には)とても良く効くイメージがあります。

逆に言えば、効かない人には全く効かないのですが...。

でもAさんは認知症症状があることから、ドンピシャな可能性もあるかなと思っての選択です。

とりあえず5日程度は様子を見ようかな。

昨日も他の薬剤師と話していたのですが、

Aさんについては、がんの治療を優先させるため外科的な治療を優先してきた経緯があり、認知症については治療がほぼ出来なくて、それが少し悔やまれるところではあります。

内科的な治療が早い段階で行われていれば、もしかしたらメマリーなどの服用で、このような周辺症状が抑えられていた可能性があるからです。

改めて患者さんを総合的に見る大切さを痛感する今日この頃。

そろそろ新型コロナウイルスも収まりつつあることから、薬剤師ボランティアグループの活動も通常運用に戻しつつあります。

抑肝散が効かない場合には抑肝散加陳皮半夏に切り替えると効いたりします。

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