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薬剤師volunteer

みの薬剤師ボランティアグループ「在宅訪問」 残された時間

2020年3月21日

本日も癌ターミナル患者のAさん宅を訪問です。

訪問看護ステーションからは、腫瘍熱と思われる発熱と癌の特出痛が増悪傾向との報告を受けていましたが、僕が訪問した本日は全くそのような症状はなく、とても穏やかな笑顔で迎えてくれました。

発熱に関しては今回も一過性のもののようなので、僕に出来ることはないため様子見で。

癌性疼痛に関しても、今回はベースアップを見送りました。

ベースアップを見送った理由は二つあります。

一つ目の理由は、今の痛み具合なら「レスキュードーズ(オプソ)を服用するタイミングを早めることで十分対処できる」と判断したから。

特に我慢強い性格のAさんは、どうしても、

【痛み止めが飲みたい】→【自分は痛みに負けた弱い人間だ】

という思考が働くようで、奥さまに「痛いから薬が飲みたい」と素直に言い出せない傾向があります。

人の性格を変えることは難しいので、この辺りについては毎回ご本人さんの気持ちに配慮しながら対応しているつもりですが、なかなか難しいですね。

ただ今回、レスキュードーズ(オプソ)について会話を進める中で、ご本人から、

「あの薬は飲みやすくて良く効くね」

「甘くて美味しいよ」

「痛くなりそうになった時に飲むことは出来るよ」

…といった、服用へのハードルが下がったように感じる発言があり、会話の流れから手ごたえも感じたので、

奥さまにも、痛みが発生した早い段階での服用を積極的に促して貰うようにお願いすることで、様子を見ることしました。

二つ目の理由は、ベースアップをした際の副作用(特に不穏や傾眠)によるQOL低下を避けたいと思ったから。

以前、幻覚やおかしなことを口走るといった不穏症状が見られたAさん。

その時はステロイドの減量で症状は消失したものの、奥さまがそのような症状に大いに不安や戸惑いを感じられたことも事実。

今回の訪問時、そうした不穏症状が無くなったことや、食欲が旺盛で体調が良いことをとても喜ばれている奥さまが、

「そろそろ桜が咲く季節になったわね」

「体調が良い日には私が運転するから車で〇〇公園に行こうね」

と嬉しそうに話されたことで、「今はベースアップするタイミングではないな」と確信しました。

残念ながらAさんに残された時間は短いです。

ベースアップをすることで、今よりも痛みによる体の負担を軽減させることが出来るかもしれませんが、

逆に副作用でQOLの低下を招き、ご夫婦にとっての貴重な時間(お花見に二人で出かけるような時間)を奪ってしまうことも考えられます。

要はリスクとベネフィットの問題ですが、今回はリスクを避けることを優先しました。

ただ病状的に難しい段階であることは確かなので、必要時には躊躇なくベースアップすることも伝え、了解も得ました。

今まで医療者として数多くの人生の最期に立ち会わせて頂いている僕ですが、毎回毎回学ぶことばかりです。

人生は夢幻のようで儚いもの。

だからこそ毎日を大切に、そして悔いを残すことのないように生きていこうと思わされます。

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