
現在みの薬剤師ボランティアグループとして在宅訪問している癌ターミナル患者のAさん。
僕が介入した時に「幻覚が見られたりおかしなことを口走る」といった不穏症状が発現していたため、主治医に相談して点滴に混注しているステロイドを2Aから1Aに減量して、しばらく様子を見ていました。
ありがたいことに減量の効果は直ぐに現れ、翌日に訪問した看護師からは「昨晩は不穏もなくご本人も奥さまもぐっすりと眠れた」との報告を受けていましたが、あれから一週間ほど経過した今日になっても不穏症状は全く見られていないようです。
Aさんには軽い認知症症状もあり、医療用麻薬の副作用症状との見分けも難しいところでしたが、今回はステロイドが原因の精神症状だったのかもしれません。
一方、痛みのコントロールも順調で、フェンタニルテープ8mg/日(定期)+オプソ10mg(レスキュー)でとても落ち着ているようです。
あれほどオキシコンチンの内服で苦労していた疼痛コントロールでしたが、フェンタニルテープが良い仕事をしています。
嚥下機能が低下してきた患者さんを担当した時に、テープ剤の選択肢がある現在は、薬剤師としてもとても心強い時代になりました。
もちろん今回はオプソが服用出来ていることも幸いでしたが、そのレスキューもここ数日は2~3日に1度しか服用しておらず、徐々に服用回数が減ってきています。
今日の段階では、痛みの軽減と共に食欲にも改善が見られ、奥さまが食べられるのと同じくらい食も進み、結果的に点滴の量を減らせるほどの状態まで回復しています。
訪問看護が介入する直前は、
痛みの憎悪 →体力や気力の低下 →嚥下機能や食欲の低下 →痛み止めが飲めない →更なる痛みの増悪
といった感じの「負のスパイラル」に陥っていて、ある意味自宅介護の限界点だったようにも思いますが、
訪問看護が毎日介入することで介護の環境が整えられ、薬剤師としても微力ながらお力添えできたことが痛みの改善に繋がり、スパイラルを良い方向に戻すことが出来たように思います。
一時期は精神的にかなり厳しい状況になっていた奥さまも、毎日看護師が訪問することが安心感に繋がり、気持ちにも随分と余裕が出てきたようです。
僕が次に訪問するのは5日後です。
訪問時にご夫婦の笑顔が見られることを祈りつつ、薬剤師としての準備は怠らず進めていくつもりです。