今回は愛知県長久手市のトヨタ博物館に展示されていたPorsche 356 Coupe(ポルシェ 356 クーペ)を紹介します。
Porsche(ポルシェ)の歴史と実績

ポルシェは1931年にドイツで創業した自動車メーカーです。
創業者はオーストリア出身のフェルディナント・ポルシェで、創業当初自動車の製造が出来なかった同社は、モーターや車両の設計及びコンサルティングサービスをしていました。
フェルナンド・ポルシェの偉大な功績のうちの一つが「フォルクスワーゲンビートル・タイプ1」です。1934年に当時の政府(首相はヒトラー)とピープルカーの設計契約を交わし誕生した名車は、1938年から半世紀以上にも渡り生産が続けられされ、総生産台数は2152万9464台にも及びました。
ポルシェの自動車生産は、フェルナンド・ポルシェ氏の息子フェリー・ポルシェにより1948年に実現しました。その最初のモデルが小型スポーツカー「ポルシェ356」です。
「ポルシェ356」のベースは、フェルナンド氏が設計した「フォルクスワーゲンビートル・タイプ1」と言われており、フォルクスワーゲンと同じ空冷水平対向4気筒エンジンをミッドシップに搭載しています。
当時としては最新鋭の技術を惜しみなく投入することで、最高速は135km/hにも達していました。
1963年に「ポルシェ356」の後継モデルとして登場した「ポルシェ911」は、21世紀となった現在もポルシェのフラグシップモデルとして君臨する高級スポーツカーです。
「ポルシェ356」から続くRR(リヤエンジン・リヤドライブ)の駆動方式を変えることなく、改良を重ねながら歴史を積み重ねてきました。
「ポルシェ911」の初期モデル901型は通称ナローポルシェと呼ばれ、その言葉通り、車幅の狭い小型ボディに空冷水平対向6気筒1991ccエンジンを搭載していました。
901型は1974年まで製造されましたが、その間も常にエンジンには改良が加えられ、1973年に発表したカレラRS(通称ナナサンカレラ)では、排気量が2687ccまで拡大されていました。
901型の後継モデルは、1974年に登場した930型です。930型はアメリカの安全基準に適合させるため大きなバンパーを装着し、通称ビッグバンパーと呼ばれていました。
930型ポルシェといえばターボモデルの存在なくしては語れません。
時代と共に「ターボ」「930ターボ」「911ターボ」等、様々な呼ばれ方をされますが、おなじみの空冷水平対向6気筒エンジンにKKK製ターボチャージャーを装着し、トランスミッションが耐えられないほどの有り余るパワーを手に入れました。
有り余るパワーを効率良く路面に伝えるために、ターボ車のボディは全てワイドフェンダー化され、専用の幅広タイヤが装着されました。
930型の後継は、1989年に登場した964型です。
964型からはボディがモノコック構造となり、初の4輪駆動モデルも登場しました。
964型の後継は、1993年に登場した993型です。
993型は最後の空冷モデルとして今でも人気があります。
現在ポルシェは「911」以外にも様々なモデルを展開しています。
ミッドシップスポーツの「ボクスター」「ケイマン」を始め、クロスオーバーSUVの「カイエン」「マカン」、セダンタイプの「パナメーラ」等どれも魅力的なモデルを取り揃えたことで、スポーツカーメーカーからの脱却に成功しました。
ポルシェは創業当初からモータースポーツ活動にも積極的で、特にル・マン24時間レースには数多くのワークスカーを送り出し、1970年に初制覇を果たしてからの通算優勝回数は19を数えます。
ポルシェはその他にも、F1やCARTシリーズへの参戦や、ワンメイクレースである「ポルシェ・カレラカップ」を開催するなど、モータースポーツをブランドイメージ向上に積極的に活用しています。
Porsche 356 Coupe(ポルシェ 356 クーペ)

ポルシェが自社で初めて製造した自動車が「ポルシェ356」です。
365番目の設計図から生まれたことから「365」と名付けられました。

設計を担当したのは、フェルナンド・ポルシェの息子フェリー・ポルシェ率いる技術者チーム。
ベースモデルは父フェルナンドがデザインした「フォルクスワーゲンビートル・タイプ1」でした。

戦争の影響もありオーストリアのグミュントで製造された「ポルシェ356」。
エンジンやサスペンションは、フォルクスワーゲンの部品を流用して組み立てられました。

バーで分割された2ピース・フロントガラスは、初期型356の最も特徴的な部分。
この知識があれば誰でも簡単に初期型356を見分けられます。

サスペンションはトレーリングアームとトーションバーを組み合わせたもの。
ブレーキはドラム式でした。

リアに搭載されたエンジンは、フォルクスワーゲン用の空冷水平対向4気筒1131ccを専用にチューニングしたもの。
最高出力を35馬力にアップしたことで、最高速135km/hを誇りました。
角型のテールライトも初期モデルの特徴です。

ポルシェの内装は、この当時から質実剛健。
ダッシュボード中央にはドイツの無線技術メーカー「Telefunken」のラジオが配置されています。

ボディと同色にペイントされた室内とホワイトのステアリングからは、ポップな雰囲気も漂います。
展示車は1950年式のクーペボディですが、その他にオープントップモデル(カブリオレ、スピードスター、ロードスター) も製造されていました。

全長3895mm×全幅1690mm×前項1315mmの曲面が美しいボディ。
重量はたった763kgでした。
Porsche 356 Coupe(ポルシェ 356 クーペ)YouTube動画
素晴らしい車の映像が楽しめることで有名な 「Petrolicious」。
埃をかぶった356がやけに魅力的です。
こちらの映像も「Petrolicious」から。
45年間「Porshe356」に乗り続け、100万マイルを走行したオーナー。
そこにたどり着くには”少しの運”も必要みたいです。