今回は愛知県長久手市のトヨタ博物館に展示されていたAlfa Romeo Giulia GT1300 Junior(アルファロメオ・ジュリア・GT1300・ジュニア)を紹介します。
アルファロメオの歴史と実績

アルファロメオは1910年にイタリアで創業した自動車メーカーです。
当初は「ロンバルダ自動車製造株式会社(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili)」の頭文字を取り「A.L.F.A.」と呼ばれていました。
「A.L.F.A.」が世に送り出した最初の車は、1910年に登場した「アルファロメオ 24HP」で生産台数は680台にも及びました。
エンジンは直列4気筒4084ccで、最高出力42hpから最高速は100km/hを誇り、ボディは6人乗りオープンカー「トルペート」以外に、2人乗りの「コルサ」、7人乗りの「リムジン」が製造されました。
1930年に登場した「アルファロメオ 6C 1750 GranSport」は、レーシングカーやスポーツカーエンジニアとして有名なヴィットリオ・ヤーノが設計を担当した傑作です。
アルファロメオ自身が「風の中を流れるような」と表現した美しいデザインと、直列6気筒スーパーチャージャーエンジンを搭載した高いパフォーマンスで、イタリアで行われた伝説的な自動車レース「ミッレ・ミリア」で優勝を果たしています。
1931年の「ミッレ・ミリア」では、8気筒エンジンを搭載した「アルファロメオ 8C 2900B」で出場。更に1938年には、ル・マン24時間レース用の特別な空力超軽量ボディを搭載した「アルファロメオ 8C 2900Bルマン」で出場しました。
「8C 2900B」は、こうした素晴らしい実績とその美しいスタイルで、世界で最も傑出したクラシックカーを選ぶ「ザ・ペニンシュラ・クラシックス・ベスト・オブ・ザ・ベスト・アワード」に選ばれるほど特出した存在でもあります。
戦後の1950年には、それまで高級車やレーシングカーのイメージが強かったアルファロメオが、経営安定化のための戦略モデルとして中型乗用車「アルファロメオ 1900」を発売。
大量生産車にも関わらず、その性能の高さから大人気となり、1959年までの長期に渡り生産が続けられました。
中型乗用車「アルファロメオ 1900」で成功を得たアルファロメオは、小型車市場にも参入。
その最初のモデルが1954年に発売した「ジュリエッタ」です。
「ジュリエッタ」には、2ドアクーペの「スプリント」、4ドアセダンの「ベルリーナ」、オープンモデルの「スパイダー」と、3種類のボディタイプが用意され、多くの大衆から支持を得ました。
1962年になると「ジュリエッタ」を「ジュリア」に改名し更に大きな成功に繋げます。
ジュリアもジュリエッタと同様に、4ドアセダンの「ベルリーナ」、2ドアクーペの「ベルリネッタ」、オープンモデルの「スパイダー」の3つのボディタイプがありましたが、他に様々なスペシャルモデルも発売されました。
ベルリーナ系は「TI」「TIスーパー」「ジュリア・スーパー」、ベルリネッタ系は「スプリントGTV」「スプリントGTA」「1300GTジュニア」、スパイダー系は「デュエット」、そしてスペシャルモデルでは「ジュリアTZ」「ジュリアTZ2」「ジュリアZ」等が有名です。
「ジュリア」で成功を収めたアルファロメオでしたが、1970年代に発売した「アルファスッド」「アルフェッタ」は、 ボディの錆や機械類の故障の多さから販売が低迷し、徐々に経営を圧迫していきます。
その後経営難に陥っていたアルファロメオでしたが、 1986年、 同じくイタリアの自動車メーカー「フィアット」が救済の手を差し伸べます。
フィアットに買収された後のアルファロメオは息を吹き返し、FR最後のモデル「75」、DTM等で活躍した「155」、「スパイダー/GTV」等、多くの人気車を排出し、徐々に低品質車のレッテルを剥がすことに成功。現在もアルファロメオブランドは、その栄光の歴史と共に多くのファンに愛され続けています。
1910年の創業当初から積極的にモーターレースに参戦し続けているアルファロメオ。
F1では記念すべき最初のレースで1,2,3フィニッシュと圧勝、その後マニュファクチャラー・チャンピオンシップでも初代王者となっています。あのエンツォ・フェラーリ(フェラーリ創設者)もアルファロメオのレーシングドライバーとして活躍していました。
その他欧州ツーリングカーレース等でも華々しい実績を残しており、アルファロメオとモーターレースは切っても切れないほど深い結びつきがあります。2018年には30年ぶりにF1にも復帰しました。
Alfa Romeo Giulia GT1300 Junior(アルファロメオ・ジュリア・GT1300・ジュニア)とは

アルファロメオは1910年にイタリアで創業した自動車メーカーです。
「ジュリア」は1954年に登場した「ジュリエッタ」の後継モデルとして発売されました。

ジュリアは大きく分けて、4ドアのベルリーナ系、2ドアクーペのベルリネッタ系、オープンカーのスパイダー系に、モータースポーツを意識したスペシャルモデルが加わえた4つのモデルが存在します。
「ジュリア・GT1300ジュニア」は、 ベルリネッタ系の2ドアクーペ「ジュリア・スプリントGT」の廉価版として発売されました。

搭載されるエンジンは直列4気筒1290ccのオールアルミエンジンです。どの回転領域でもアルファロメオらしい官能的なサウンドを響かせます。
車体は4010 x 1580 x 1290 mmとコンパクトで、車重も990kgしかありません。

この角度から見ると、フロントノーズとボンネットとの間に段差が見られます。
これがいわゆる”段付き”と呼ばれる人気モデルで、 細部まで美しいジウジアーロデザインの象徴のような存在です。
Alfa Romeo Giulia GT1300 Junior(アルファロメオ・ジュリア・GT1300・ジュニア)のYouTube動画
からし色の珍しいジュリアを題材にしたインタビュー形式の動画です。
Petroliciousが制作した美しい映像が楽しめます。
完璧な状態にレストアされたジュリア。
内装、特にメーター周りの作り込みには痺れてしまいます。
レース用に仕立てられたガンメタリックのジュリア。
爆音を響かせながらサーキットを疾走しています。
こちらも小さなサーキットを疾走する真っ赤なジュリア。
アルファロメオはモータースポーツが良く似合います。
イタリアの自動車ジャーナリスト兼テストドライバーのDavide Cironiによる解説動画です。
数台の車載カメラを使った迫力ある映像とアルファロメオらしい官能的なエンジン音が楽しめます。