
きっかけ
事の発端は、母親がふとしたきっかけで、いわゆるシロアリ業者に無料検査を依頼したことでした。
業者さん曰く「安毛(実家の地区名)はシロアリで全滅やわ」だそうで。
それを聞いた母親は焦って駆除を依頼してしまうところでしたが、
寸前に僕に相談してくれたおかげで、結果的に無駄な出費を抑えることができました。

依頼した業者はJA(農協)の指定業者ということで、
母親が何の疑いもなく信じてしまったのは無理もないとも言えます。
ただ、無料検査の際に、シロアリに喰われたような木片を母親に見せ「
ほら見てごらんなさい、ひどいでしょ?」
といった態度で説明をしたことは全く持って頂けません。
そこまで床下が酷いのであれば、写真を撮影する等しっかりとした証拠を示すべきだと思うし、
全くその業者を信じていない訳ではないですが、少し疑いを持ってしまったのも事実です。

そのような釈然としない経緯もあり、
やはり実際に自分の目で確かめること以上に確実なことはないよね...という結論に至りました。
もちろんそれには両親も賛成で、
コロナ禍のゴールデンウイークの数日をつぶして床下に潜ることになりました。
実家は築30年程の昔ながらの日本家屋です。
父親のお堅い性格もあり、「とにかく家は頑丈でなければならない」を主に設計・施工がなされています。
建築当時中学生だった僕にとっても、使われる木の一本一本がとても太いし、
それが何本も使われ組み立てられていく姿を、「すごいなぁ」と眺めていたことを今でも鮮明に覚えています。

この時代、この地区は建築ラッシュだったこともあり、周りにもたくさんの家が建ちましたが、
近所のオジサンが「こんな巨木を何本も載せたのはお前の家だけやわ」と言っていたことを思い出しました。

そんな父親のこだわりが詰まった家なので、
仮にシロアリの被害にあっているとしたら、正直いたたまれない気持ちにもなります。
そんな訳で今回は、
面倒くさいというよりも、何とかしたいという気持ちの方が上回ったとも言えるかもしれません。

事前準備
そんな経緯で床下に潜ることになった訳ですが、どこから潜ろうか考えていた時、
そういえば居間に掘りごたつがあったなということを思い出しました。
今回はこのスペースから入ることにします。

掘りごたつは、当初は毎年使っていたものの、最近は全く使っていません。
また床下に飛び出だして設置してあることから、当然換気という意味ではマイナスしかないので、
これを機に解体してしまうことしました。
取り外したモノを見て分かったことは、「昔のものは本当に丈夫に作られているな」ということ。
ニトリで売っているような家具とはしっかり感が全く違います。

掘りごたつ一式を取り外したところで、空いたスペースから床下を覗いて見ました。
ここから見る限りは、土壌も乾いているし全く問題ないように思えます。
ただ、ここはあくまでも居間の床下なので、水場に近いところはどうなっているかは、
実際にもう少し先に進んで見てみないと判断できません。

薬液等を購入
床下に潜るのは後回しにし、その前に薬液等の備品を購入しておくことにします。
調べてみると、DIYによるシロアリ予防・駆除には3つの方法があるようですが、
せっかくなので今回は全て施工することにします。
①ベイト工法
家の周りに、このようなステーションと呼ばれる罠を仕掛ける方法です。
シロアリが中に入っている餌を持ち帰り、巣ごと壊滅させるそうです。
アマゾン等でも色々な種類があるのですが、今回はイカリ消毒さんの「シロアリハンター」を使用してみることにしました。
評価も悪くなく、何より他社の同じような製品よりも穴を深く掘らなくても良さそうなことが決め手ですが、
その分効果が落ちる可能性もあるのかなと思ったりもしてます。

②木材の処理
木材処理は、刷毛等で薬液を直接塗る方法と専用の機械やスプレーで噴霧する方法があるようです。
効果が高いのは直接塗る方法だとは思いますが、そこまで手をかける時間もないし、
床下で長時間薬液を吸入するのも体に悪そうなので、とりあえず今回はスプレーで噴霧するだけにしておきます。
製品は、こちらもイカリ消毒さんの「ムシクリン シロアリ床下用エアゾール 480ml」にしました。
スプレーノズルもしっかり作られているし、噴霧の勢いも強くて使いやすそうです。
シロアリの被害が酷いようだったら、追加で刷毛処理をしようと思います。

③土壌の処理
土壌処理は、土壌に薬液を散布する方法と、予防的に調湿剤等を敷き詰める方法があるようです。
もちろん両方やる方が良いのでしょうが、今回は適所に調湿剤を敷き詰める方法にしました。
薬液の噴霧は、木材処理と同様にシロアリの被害を見てから判断します。
調湿剤に選んだのはアイリスオーヤマの「床下さらり」という製品です。
敷き詰めるだけで調湿、防虫・防カビ、消臭効果があるそうですが、
他の製品と比べお値段がが格安なのもポイントです。
以前は安かろう悪かろうのイメージだったアイリスオーヤマですが、
最近はブランド力が上がってますね。

調査
購入しておいた薬液が届いたところで作業開始を開始します。
業者さんであれば、専用の作業服、マスク、メガネ、帽子、手袋を使用されると思いますが、
そんなものは無いので、いつものジャージに軍手をはめ、頭にはタオル巻いて床下に潜ります。

家の中央部分から潜り、目指すは水場(洗面所、お風呂、トイレ)の床下です。
この暗闇の先の先がその目的地です。
この辺りは土も乾いているし木材も全く問題なさそうですが、さてどうなっていることやら。

その場から南側方面(応接室・居間)も確認しましたが、こちらも問題なさそうです。

狭い中をどんどん奥に進んで行き、正面に見えてきたのが洗面所の基礎部分になります。

洗面所下に到着しました。
見たところ土も乾いているし、何も問題なさそうに見えて、まずは一安心。

お風呂場の下も全く問題なくキレイなもんです。

左がトイレになりますが、こちらにも蟻道はないし、それらしい木材も落ちてません。

業者さんの言う通りだとすれば、この辺りがボロボロになっているはずなんだけどね...
うーん。
あくまでも素人判断なので何とも言えないのですが、
業者さんが言われたような酷い状態ではない...というか、
全く問題ないようにしか見えません。

施工
調査を終えて両親に写真を見せながら状況を説明しました。
両親はそれを聞いて安心した一方で、
母親に見せたシロアリに喰われたような木片は何だったんだろう?とか、
調査報告書に書かれてあることは何なんだろうとか、
そういった疑問がいくつか沸いてくる訳ですが、
まあ世の中色々事情があるということで、今回は結果オーライということで
これ以上は考えないようにします。
さて、そうなると、購入した薬液等が無駄になってしまう訳ですが、
素人目に問題なさそうとはいえ、もしかしたら小さい被害はあるのかもしれなし、
そもそもこの家自体も築30年ほど経っていることから、何もしない選択もどうかと思ったので、
「シロアリを予防する」という目的で購入したモノは全て使い切ってしまうことにしました。
アイリスオーヤマの調湿剤は、キッチン、脱衣所、お風呂、トイレに加え、
家の中央付近に敷き詰めることにしました。
このように奥から順番に敷き詰めていきます。

床下の一番奥まで10kgの袋を持って行くのがとっても大変でしたが、
時間をかけ少しずつ敷き詰めていきました。

キッチンの床下収納周辺にも敷き詰めました。
これで水を使う周辺には全て敷き詰めたことになります。

調湿剤の敷き詰めが終わったところで、次は木材に薬剤を噴霧しました。
床下の一番奥の方から、匍匐前進(ほふくぜんしん)ならぬ匍匐後進(ほふくこうしん)で
作業を進めていきます。

説明書には「十分換気に注意しながら使用を」と書かれていますが、そんなのは絶対に無理です。
「低刺激」とも書かれてあったけど、何度もむせながら匍匐後進(ほふくこうしん)しながら作業をしました。
作業を終えてからも30分くらい喉に違和感があったし、
やっぱりしっかりとしたマスクをするべきだったと後で後悔しました。

掘りごたつの処理
調湿剤の敷き詰めと薬液噴霧が終わったので、
掘りごたつを解体して出来た大きな穴を埋めることにしました。
掘りごたつのために横向きの木が2本切断されているので、
このまま敷板を乗せても、畳がフワフワ動いて気持ちが悪いからです。

色々考えた末、掘りごたつ本体を骨組みとして再利用することにしました。
ブロックを利用して、このように敷板1枚が入るように高さを合わせました。

そのスペースに、このように敷板を1枚を敷き詰め、更にその上から長い敷板を敷くことで
安定させることが出来ました。

ベイト工法
最後はベイト工法ということで、シロアリハンターを家の周辺に埋めていきました。
シロアリがどこから侵入してくるのかは全く分かりませんが、それらしい場所を狙って設置しました。
ある程度経過したら、餌の状態を見てみようと思います。

以上でDIYによるシロアリ予防・駆除は終わりです。
無料相談から始まった今回のシロアリ騒動でしたが、
①シロアリの被害がないことを自分の目で確かめられたこと、
②コストをかけずにシロアリ予防ができたこと
③それにより両親に安心を与えられたこと等、
良いことばかりでした。
昔は、毎年畳を上げて床下の換気をしていたとは良く聞く話で、
やっぱりそうしたことの積み重ねが、家を長持ちさせる秘訣なんだろうなと
今回自分でやってみて改めて思いました。
正直、薬液噴霧を毎年やれと言われると考えてしまいますが、
床下換気やベイト工法の確認程度のことは、
父親がこだわって建てた家のためにも、しっかりやっていこうと思いました。