薬剤師ボランティア

みの薬剤師ボランティアグループ 災害訓練に参加

昨日は美濃病院の災害訓練に薬剤師ボランティアとして参加していました。

美濃病院は東日本大震災(2011年3月11日)が発生した翌年から積極的に災害時医療への取り組みを始め、毎年3月11日前後に災害訓練を行っています。

僕は美濃病院在籍中に薬剤師の傍ら医療安全管理室長をしていた関係で、当時災害対策の構築に力を注いでいて、その関係で日本災害医学会のMCLS(Mass Casualty Life Support)資格を取得したこともあり、今回の訓練にも声をかけて頂きました。

僕が美濃病院で災害時医療の取り組みを始めた2011年当時は、災害時マニュアルさえ整備されておらず、かろうじて火災訓練用の資料がある程度だったので、災害への対策はまさしく0からの取り組みといった印象でした。

僕が初めに手を付けたのは「災害時マニュアル」の作成です。

まずは病院のインフラや物資等の現状を把握して、マニュアルに必要な項目をピックアップしていき「たたき台」を作成しました。

各項目は災害時の行動をイメージし、基本的に時系列に並べておき、徐々に内容を充実させていきました。

内容が充実してくると次々と矛盾点も出てくるので、全体のバランスを取りながら各項目を整えていく作業の繰り返しでした。

決めなければ先に進まないことや難しい問題点が出てきた時には、その都度各部署に足を運んで調整し、ときには院長や看護局長の考えとすり合わせる作業も必要で、その一つ一つがとても懐かしいです。

マニュアルを作成した後は「災害時アクションカード」を作成しました。

災害時アクションカードとは、災害時にやるべき行動(アクション)を簡潔に記載したカードのことです。

マニュアルとは違い「与えられた役割ごとに別々のカード」を用意し、それぞれのカードに「やるべき行動を時系列に記載」することで、各自が行動を起こしやすいという特徴があります。

アクションカードを作成することで「災害時に何をしたら良いのか分からず指示待ち状態になってしまうスタッフ」を少しでも減らすことを目標としました。

アクションカードを作成する際に一番苦労したことは、全体の流れをイメージしながら、与えられた役割になりきって必要な行動をイメージする必要があること。そして、それを的確な言葉でカードに落とし込む必要があることです。

カードに書かれた行動が時系列になっていないと確実に混乱を招くことになるし、書かれている内容が簡潔過ぎても詳しすぎても上手く伝わらないことが分かっていたからです。

アクションカードは当初全部で50枚ほどありましたが、1枚のアクションカードに変更を加えると、連鎖的に他のアクションカードにも変更を加えなければならないことも頭を悩ませました。

そのようなことを思い出しながら久々に参加した美濃病院の災害訓練でしたが、今でも僕が原型を作ったアクションカードや掲示物が使われているのを目にして、何だか嬉しくなりました。

災害時の体制を考える時には、とにかく「シンプルであること」が一番で、目指すゴールは「初動体制をスムーズに確立できること」と「各個人が自主的に行動ができること」だと僕は考えます。

マニュアル化できる項目はたかが知れてるし、起こること全てを想定できる訳ではないことを肝に銘じ、今の災害担当者には頑張って欲しいと思います。

今回薬剤師ボランティアとして訓練に参加した僕ですが、外来患者待機エリアという場所に派遣され、処方を希望する患者さんへの対応をしました。

美濃病院に在籍していた頃は運営側でしか参加したことがなかったので、今回は参加側として新鮮な気持ちで、且つ部外者として今まで以上に客観的に見られたように思います。

みの薬剤師ボランティアグループとして、災害対策の知識を活かした取り組みをするように促されたような気がしました。

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